himarayasannmyakuのブログ

70年代と80年代のサブカルが一番好き

【ウマ娘】検証・ウマ娘3期

ご訪問ありがとうございます。暇ラヤ山脈です。

今回はアニメウマ娘3期の愚痴です。

1,2期、RTT、シングレもそれなりに楽しめていたので3期も期待していたのですが、回を追うごとに不安になってくる有様だったので愚痴を吐き出したくなりました。

素人意見の殴り書きなので苦手な方はそっ閉じしてください。

 

▼△▼

 

このアニメが教えてくれたことは主に3つ。

 

■スポ根アニメの主人公には早い段階で好かれる要素をお出ししておくことが大事

■キャラクターの行動原理や思考が理解できなくなると感情移入できなくなる

■続き物で新設定を出すときは慎重に扱うべき

 

普通のウマ娘だったキタサンブラックが挫折を乗り越えて、『そしてみんなの愛バになる』過程を2016年クラシック世代をモデルにして描いたスポ根アニメ......として構成したいのでしょうが見終わってみると『けものフレンズ2』や『スターウォーズ EP8』に近い雰囲気を感じます。

なんか引っ掛かりを覚える。

面白かった作品の後に作られる続編ってハードル上がるから成功するイメージないし、サブカル界ではいつものことなんでしょうけど納得いかない部分が多いのも確か。

気になるところを一通り整理してみようと思います。

 

▼△▼

 

最初の大きな躓きは、世界観やキャラを説明する気が無いこと。

言い換えると1期、2期と比較して1話の出来が非常に悪いです。

 

▼スぺちゃんを転校生設定にし、初めてウマ娘に触れる視聴者に世界観を映像で見せ、目標を設定するところまで持って行った1期

▼テイオーがキタサンとダイヤを案内することで世界観を改めて説明し、ダービー勝利後に骨折していることを示唆して今後の展開のフックを作って終わる2期

▼冒頭でキタサンが皐月賞で負けて日常パートを挟んで日本ダービーで負けて終わる3期

 

1期も2期もそれなりの尺を取って世界観を説明していたのですが、3期は日常パートにかなり尺を割いています。なので1話なのに悠長というか冗長というか...。

少なくとも1期、2期には用意されていた視聴者と同じ目線で立つキャラを用意しない時点で誠実ではないなという印象を受けます。

 

次の躓きは、走る理由をキチンと描かなかったこと。

1話の皐月賞に負けて「負けちゃった~」で済ます雰囲気を悪い意味で引きずってしまい、2話以降のキタサンに何のために走るのかを向き合わせなかった結果、なあなあで走って勝つ主人公になってしまいました。

やっと向き合ったと思ったら8話だし、お出しされた答えも開き直りに近い。

全13話中の折り返しでやっても賞味期限切れというかσ(^^;

この問題はキタサンに限らず他のキャラにも言えることですが、これまでのウマ娘が重視してきたキャラクターの走る理由が雑に扱われており、ただモデル馬の戦績をなぞるだけになったのは返す返すも残念。

キャラの動かし方、絡ませ方も決して良かったとは言い難く、ライバル関係で盛り上がることもありませんでした。当のキタサンが絡みに行く相手が商店街とネイチャ、時々ダイヤなので然もありなん。

チームスピカなんて商店街とネイチャより出番が少なかった。

サトノクラウンサウンズオブアースは完全に蚊帳の外、シュヴァルグランも12話に至る過程の擦り合わせができていないので突然告白したみたいな絵面になってしまいました。

今まで絡んでこなかったヤツに告白されても困惑するのは当たり前なんじゃないですかね。

キタサンはシュヴァルに対して何とも思ってなさそうなのが本当に酷い。

キャラの多さもあってか2期よりディティールが粗く、描写が全体的に散漫していて雑だったかなと感じます。

 

3つ目はキタサンに魅力がないこと。

そもそもアプリの方の”お助けキタちゃん”や”お祭り娘”の定義もはっきりせず、レースで勝つ目的とリンクしているとは言い難いので扱いが難しいのかもしれません。

で、今回のキタサンは徹頭徹尾、失礼な子だなという印象です。

身内や贔屓にしてくれる商店街の人たちといった狭いコミュニティの中でしか優しさと明るさが発揮されず、距離が近いはずの同期やチームの先輩たちには素っ気ないので印象が悪いです。

お人好しよりも陰湿なイメージの方が強い。

いや、思いやりがないの方が正確かな。

最終的なゴールから逆算しても彼女が関わる世界が狭すぎるし、みんなに愛される人気者になれるビジョンが見えなかったのも痛い。

周りはキタサンを意識してるけど、キタサンにとってはその他大勢でしかないので最終的にライバルが誰もいない状態になってしまいましたね。

一番イカンのは彼女自身の目標と目標の実現に向けた行動がハッキリしないことです。

最初の目標は「テイオーさんみたいになりたい!」だったのですが、皐月、ダービーに負けたことで最初の一話にしてその目標が叶わなくなってしまいました。

それでも構成の都合上レースで走り続ける理由が必要なんですが、それを無視したままG1を勝ち続ける状態が続きます。

で、思い出したようにいきなり悩みだすのでどういう子なのかさっぱり分からない。

これは悩んでるキタサンに誰かが助言を与えるための所謂”展開のための展開”でしかなく、繋ぎが不自然。

勝っても後味悪い描き方をするし、負けたレースばっかりクローズアップするから気持ちよく観させてくれないのもマイナス。

肝心の彼女の根っこに当たるバックボーンすらボヤけてるので見ていて不安になる主人公でしたね。

主人公なだけあって他のキャラより時間も尺も割かれていましたが、それを成長やキャラの奥行きに結びつけなかったのはつくづくもったいないと感じます。

 

極めつきは、ピークアウト設定。

引退したウマ娘が移籍するドリームトロフィーリーグの立場はどうなるんだよとか、2期のテイオーの復活劇やった続編でお披露目するのはどういう魂胆だとか、1期と2期の描写がある分、最も受け入れ難かった部分ですね。

天秋勝って不安を払拭するのかと思いきや、あっさり引退宣言したのはテイオーの後輩としてもどうなんだろうと思いました。

なまじテイオーに「引退しないでほしい」と言ってしまった手前、この辺の取り扱いは注意して欲しかったです。

まだ精神的な不調にしてくれた方が穏便に済んだはず、サトノクラウンシュヴァルグランの立つ瀬はどこですか?

 

▼△▼

 

モデル馬のエピソードをいかにカタルシスに昇華するか、ライバル同士のドラマに繋げるかがウマ娘作品の製作陣の腕の見せ所だと思っているので、その点で見ると今回は期待より不満の方が勝ったかなと感じます。

 

まとめると、

天秋のキタサン出遅れのアレンジ、2話でのネイチャ、6話のダイヤなど光るところは確かにあったけれど、通しで見ると押さえるべき要所を外し続けたのがモヤモヤする原因かなと。

特にサトノクラウンの単独メイン回がなかったのが残念だったし、シュヴァルがなぜ勝ちに拘るのかが見えなかったのが大きいですかね。

 

各話ごとの配分を見てみます。

赤く色を付けたのは特に出来が酷いと思った回です。

 

1話:皐月&ダービー、ドゥラメンテ登場

2話:菊花賞、ネイチャ1回目

3話:ゴルシ回(オルフェーヴルジェンティルドンナ匂わせあり)、有馬記念1回目、サウンズオブアース登場、ネイチャ2回目

4話:ブルボン&ライス回、大阪杯、天春、ダイヤ:皐月賞、ネイチャ3回目

5話:ドゥラメンテ回(「誰?」発言)、宝塚、ダイヤ:ダービー

6話:ダイヤ回、ダイヤ:菊花賞

7話:有馬記念2回目、ヴィルシーナヴィブロス登場

8話:タメ回、ネイチャ4回目

9話:天春

10話:宝塚

11話:天秋、ピークアウト設定登場

12話:シュヴァルグラン回、JC、ロイスアンドロイスの実名が判明

13話:有馬記念3回目、新衣装登場

 

4話までは新キャラのお披露目で話題を作り、既存の人気キャラを引っ張ってきて話を繋いでます。

5~8話はダイヤにスポットが多く当たるようになりますが、5話でのドゥラメンテの扱いと8話でのキタサンの描写が酷かったせいで歯車が完全に噛み合わなくなった印象です。

9話からはキタサンの古馬G1戦線に話が戻りますが、冗長な日常パートが多いわ、ライバルとの絡みも無いわで焦点がずっとズレてます。

執事喫茶やったり旅に出たり…。

日常パートとレースパートの食い合わせが悪く、話が前に進まない。いや、進めない。

前半後半で話がブツ切りになるのは勘弁してほしかったですね。

 

前半は新キャラと新情報で盛り上げ、テンポよく展開していたのでメインキャラの掘り下げに比重を置いていませんでした。

結果的に前半でメインキャラの個性が確立できず、後半で足場が崩れます。

後半戦は出せる情報も出し尽くして落ち着いてしまったので話題性で引っ張ることも出来なくなり、キャラの掘り下げも出来ず…という印象でした。

メインキャラはみんな自分たちの身内としか関わって来なかったからお互いのライバル意識も友情もどんなものなのかハッキリしません。

元がキャラが売りのソシャゲの販促アニメなので新キャラで話題を作るのは正しいと思うのですが、質の悪いことに新キャラの扱いはどれも悲惨なせいで、リアルスティールゴールドアクターが実名で登場しなくて良かったとさえ思ってしまいます。

キャラの魅力で乗り切ろうとしてもメインを張る新キャラより既存キャラばかりに尺を割くのでどうしようもない。

残念ながら、後半戦はずっと低空飛行だった印象が強いです。

 

以上の観点から、前半でメインキャラを描くことから避けて安易な方法で話題を作る道を選んでしまい、後半にそのしわ寄せが来て上手く捌けなかったアニメではないかと考察します。

キャラを増やしすぎた結果、物語の進行に本来必要ないけど既にキャラ立ちしているウマ娘で話を回そうとしてバランスが崩れたのでしょう。

1話ごとの積み重ねで話を作ってきたのがウマ娘ですから、メインキャラにはキチンと向き合って欲しかったなぁ。

話の前後の擦り合わせができていないのは致命的でしょう。

これまでのウマ娘が大事にしてきた競馬へのリスペクト、言わば”取扱注意の箱”を雑に扱ったら何も残らないというのがよく分かるアニメでした。

最後の最後に映画の公開を発表してきましたが、3期視た後だと不安だなぁ...。

気が向いたら追記修正します。