ご訪問ありがとうございます。暇ラヤ山脈です。
今回はアニメウマ娘3期の愚痴です。
1,2期、RTT、シングレもそれなりに楽しめていたので3期も期待していたのですが、回を追うごとに不安になってくる有様だったので愚痴を吐き出したくなりました。
素人意見の殴り書きなので苦手な方はそっ閉じしてください。
▼△▼
このアニメが教えてくれたことは主に3つ。
■スポ根アニメの主人公には早い段階で好かれる要素をお出ししておくことが大事
■キャラクターに感情移入してもらうためには言動に一貫性が必要
■続き物で新設定を出すときは慎重さが大事
普通のウマ娘だったキタサンブラックが挫折を乗り越えて、『そしてみんなの愛バになる』過程を2016年クラシック世代をモデルにして描いたスポ根アニメ......として構成したいのでしょうが見終わってみると『けものフレンズ2』や『スターウォーズ EP8』に近い雰囲気を感じます。
続き物で、好きだったはずのキャラが苦手になったり、「それは違うだろ」と違和感を覚える経験はそう珍しいことでもないし、殊更騒ぎ立てる意味は無いのかもしれません。
素直に楽しむのがいちファンとして正しい姿なのかもしれません。
とはいえ、
気になるところを一通り整理してみようと思います。
▼△▼
最初の大きな躓きは、世界観やキャラを説明する気が無いこと。
言い換えると1期、2期と比較して1話の出来が非常に悪いです。
▼スぺちゃんを転校生設定にし、初めてウマ娘に触れる視聴者に世界観を映像で見せ、目標を設定するところまで持って行った1期
▼テイオーがキタサンとダイヤを案内することで世界観を改めて説明し、ダービー勝利後に骨折していることを示唆して今後の展開のフックを作って終わる2期
▼冒頭でキタサンが皐月賞で負けて日常パートを挟んで日本ダービーで負けて終わる3期
1期も2期もそれなりの尺を取って世界観を説明していたのですが、3期は日常パートにかなり尺を割いています。
なので1話なのに悠長というか冗長というか...。
少なくとも1期、2期には用意されていた視聴者と同じ目線で立つキャラを用意しない時点で誠実ではないなという印象を受けました。
更に、キタサンの言動に一貫性がなく、中身が無いことが拍車を掛けました。
身内や贔屓にしてくれる商店街の人たちといった狭いコミュニティの中でしか優しさと明るさが発揮されず、距離が近いはずの同期やチームの先輩たちには素っ気ないので印象が悪いです。
周囲がキタサンを意識しても、当のキタサンにとってはその他大勢でしかないので最終的にライバルが誰もいないという大惨事に。
一番イカンのは彼女自身の目標と目標の実現に向けた行動がハッキリしないことです。
最初の目標は「テイオーさんみたいになりたい!」だったのですが、皐月、ダービーに負けたことで最初の一話にしてその目標が叶わなくなってしまいました。
それでも構成の都合上レースで走り続ける理由が必要なんですが、それを無視したままG1を勝ち続ける状態が続きます。
で、思い出したようにいきなり悩み始めるのでどういう子なのかさっぱり分からない。
悩んでるキタサンに誰かが助言を与えるための所謂”展開のための展開”を作りたい制作陣の意図は理解できるのですが、少々露骨すぎましたね。
主人公なだけあって他のキャラより時間も尺も割かれていましたが、それを成長やキャラの奥行きの描写に繋げられなかったのはつくづく残念に感じます。
見ていて不安になる主人公でした。
次の躓きは、キャラの走る理由をキチンと描かなかったこと。
1話の皐月賞に負けて「負けちゃった~」で済ます雰囲気を悪い意味で引きずってしまい、2話以降のキタサンに何のために走るのかを向き合わせなかった結果、キタサンは理由もなく、ただ走って勝つ主人公になってしまいました。
この問題はキタサンに限らず他のキャラにも言えることですが、これまでのウマ娘が重視してきたキャラクターの走る理由が雑に扱われており、ただモデル馬の戦績をなぞるだけになったのは返す返すも残念。
唯一、サトノダイヤモンドだけは例外で、「家のために」という走る理由があっただけにキタサンたちの中身の無さが際立ってしまう事態に。
極めつきは、天秋の回でお出しされたピークアウト設定。
史実ベースのアニメとして観ても、1期と2期の続編として観ても受け入れ難かった部分です。
モデルになった17年の天秋は、出遅れを鞍上が神騎乗でカバーした有名なレース。
『仁川の悲鳴は杞憂に終わった』『現役最強馬』と実況でも言われていることから、宝塚記念で9着に敗れて『キタサンは衰えたんじゃないか』という世間の評価を覆したレースであると認識しています。
念のため当時のネットニュースも漁りましたが、『キタサンは天秋でピークアウトした』根拠は見つからなかったので、ただただ困惑するしかありませんでした。
「史実に基づいた描写を心掛ける」とは何だったのでしょうか。
物語としての問題はライバルたちがキタサンに勝っても負けても評価が落ちる点。
たとえ、サトノクラウンとシュヴァルグランがキタサンに勝っても「キタサンが衰えたから勝った」、負けても「衰えたキタサンにすら勝てない」という、どう転んでもマイナスの評価がつきまとう負のスパイラルが発生します。
結果として、誰が勝者になってもカタルシスが生まれなくなり、レースそのものが陳腐化しまいました。
そもそも、かつてテイオーの復活を望み、テイオーに憧れている設定があるキタサンにあっさりと引退宣言をさせるのは少々筋が通らないのでは......。
精神的な不調にしてくれた方が穏便に済んだはずなのに、欲をかいて新設定でぶち壊しになるという、悪い見本市でした。
▼△▼
モデル馬のエピソードをいかにカタルシスに昇華するか、ライバル同士のドラマに繋げるかがウマ娘作品の製作陣の腕の見せ所だと思っているので、その点で見ると今回は自分の中で期待より不満の方が勝ったかなと感じます。
1期、2期がそれらを上手いこと捌いて『現実にはこんな凄い競走馬がいたんだよ』という見せ方をしてくれていたので、勝手に同じレベルを期待して勝手に失望したわけですが(^^;
まとめると、
天秋のキタサン出遅れのアレンジ、2話でのネイチャ、6話のダイヤなど光るところは確かにあったものの、通しで見ると押さえるべき要所を外し続けたのがモヤモヤする原因かなと。
多分、キタサンが主人公として好きになれなかったことが6割、残りはドゥラメンテら新キャラの扱いの悪さでしょうか。
各話ごとの配分を見てみます。
赤く色を付けたのは特に出来が酷いと思った回です。
1話:皐月&ダービー、ドゥラメンテ登場
2話:菊花賞、ネイチャ1回目
3話:ゴルシ回(オルフェーヴル、ジェンティルドンナ匂わせあり)、有馬記念1回目、サウンズオブアース登場、ネイチャ2回目
4話:ブルボン&ライス回、大阪杯、天春、ダイヤ:皐月賞、ネイチャ3回目
5話:ドゥラメンテ回(「誰?」発言)、宝塚、ダイヤ:ダービー
6話:ダイヤ回、ダイヤ:菊花賞
8話:タメ回、ネイチャ4回目
9話:天春
10話:宝塚
11話:天秋、ピークアウト設定登場
12話:シュヴァルグラン回、JC、ロイスアンドロイスの実名が判明
13話:有馬記念3回目、新衣装登場
4話までは新キャラのお披露目で話題を作り、既存の人気キャラを引っ張ってきて話を繋いでました。
5~8話はダイヤにスポットが多く当たるようになりますが、5話でのドゥラメンテの扱いと8話でのキタサンの描写が酷かったせいで巻き返すチャンスもふいにしてしまいます。
9話からはキタサンの古馬G1戦線に話が戻りますが、日常パートとレースパートの食い合わせが悪く、焦点がズレていきます。
前半後半で話がブツ切りになるのは勘弁してほしかったですね。
前半は新キャラと新情報で盛り上げ、テンポよく展開していたのでメインキャラの掘り下げに比重を置いていませんでした。
結果的に前半でメインキャラの個性が確立できず、後半で足場が崩れます。
後半戦は出せる情報も出し尽くして落ち着いてしまったので話題性で引っ張ることも出来なくなり、キャラの掘り下げも出来ず…という悪循環に。
メインキャラはみんな自分たちの身内としか関わって来なかったからお互いのライバル意識も友情もどんなものなのかハッキリしません。
元がキャラが売りのソシャゲの販促アニメなので新キャラで話題を作るのは正しいと思うのですが、性質の悪いことに新キャラの扱いはどれも悲惨なせいで、リアルスティールやゴールドアクターが実名で登場しなくて良かったとさえ思ってしまいます。
キャラの魅力で乗り切ろうとしてもメインを張るべき新キャラより既存キャラばかりに尺を割くのでどうしようもない。
残念ながら、全体を通してずっと低空飛行だった印象が強いです。
以上の観点から、前半でメインキャラを描くことから避けて安易な方法で話題を作る道を選んでしまい、後半にそのしわ寄せが来て上手く捌けなかったのでは?と邪推します。
本来ならば新キャラの紹介をするところを本筋に関わらないはずウマ娘を中心にして話を回そうとしてチグハグなことになったとか…?
1話ごとの積み重ねで話を作ってきたのがウマ娘ですから、メインキャラにはきちんと向き合って欲しかったところ。
これまでのウマ娘が大事にしてきた競馬へのリスペクト、言わば”取扱注意の箱”を雑に扱ったら中身が悲惨になるということがよく分かりました。
最後の最後に映画の公開を発表してきましたが、3期観た後だと不安だなぁ...。
気が向いたら追記修正します。